一口に工業用ゴム製品と言っても、その原材料には多くの種類があり、その種類ごとに様々な特徴を持っています。
例えば、耐熱性に優れているもの、耐摩耗性に優れているものなどです。 工業用ゴム製品を使用するときには、どのような場面で使用されるものなのか、その場面で活躍する特性を持った材料はなんなのか、把握することが重要でしょう。
それら材料のうち、スチレンゴムは現状工業用ゴム製品の中でも特に汎用性が高くて、広いシェアを持っていることで知られています。
機械的な強さ、耐摩耗性にも優れており、なんと一般的に製造されているゴムのうち、ほとんどをこのスチレンゴムが占めるようです。 製造単価もそこまで高くなくて、加工も難しくないということが、このスチレンゴムが広く市場に受け入れられている原因にもなっているのでしょう。

では、そんなスチレンゴムはどんな製品に使用されているのでしょうか。 最も代表的なのは、車のタイヤです。
上記のようにスチレンゴムは耐摩耗性に優れており、また弾力があるため、日常的に物理的衝撃に耐える必要がある車のタイヤにはもってこいなのです。 しかし、スチレンゴムにも苦手とする部分があります。 このゴムは耐熱性に関しては天然ゴムより少し優れている程度、耐油性に関してはほとんど期待できないため、工業用のパッキンなど、油に常に触れている部分に使用することはできません。
用途としては、単純な物理的刺激にさらされるだけの環境で使用するのが一番良いということでしょう。
ですから、おそらく多くの人の家庭でもこのスチレンゴムはあるはずです。 靴底や床のタイル、スポーツ用品などにも多く使用されているため、気づかないうちに多くの人がこのスチレンゴムの恩恵にあずかっているといえるのです。
まさに、縁の下の力持ち的な材料です。